市立学校の教科用図書選定審議会(非公開)などの音声データを巡る訴訟で一審に続き、市教育委員会に原告の元教員男性2人へのデータの開示請求拒否処分を取り消すよう命じた東京高裁判決に対して市教委は2日、上告を断念すると発表した。その理由として、上告等の理由を見出すことが難しく、上告しても有利な結果が得られる可能性が極めて低く、結論の先延ばしを図るに過ぎないと判断したとしている。
教科書選定音声データ非開示取り消し 市の控訴棄却(4/24)
教科書採択に関する選定審議会(非公開)などの音声データを市教育委員会が非開示にしたのは市情報公開条例に違反するとして、元教員男性2人が市に取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は24日、市に開示拒否処分の取り消しを命じた一審の横浜地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。市側は「音声データの一部が抜き出されるなどして発言者の意図が歪曲されて伝わる恐れがある」などと主張したが、判決は「具体的に想定しがたい」などとした。
添い寝死亡で賠償命令 市障害児施設で地裁支部判決(3/14)
障害児支援施設「市中央療育センター」(中原区)で2016年、短期入所中の清水正和君(当時9)が死亡したのは職員が添い寝中に寝入ったのが原因などとして、遺族が運営する社会福祉法人「同愛会」(横浜市)と女性職員に損害賠償を求めた訴訟の判決で横浜地裁川崎支部は14日、被告側に計約2690万円の支払いを命じた。判決は職員が寝入ったことによる窒息死の予見可能性があったと指摘。施設側にも使用者責任を認めた。市は「当事者でないのでコメントしない」としている。
収蔵品水没で住民請求棄却 市民ミュージアム(2/28)
2019年の台風29号で市市民ミュージアム(中原区)の地下収蔵品が水没した問題で、市民団体「かわさき市民オンブズマン」が市に対し、市長や指定管理者らに計20億円の損害賠償を請求するよう求めた住民訴訟の判決で横浜地裁は28日、請求を棄却した。判決では当時のハザードマップは多摩川の氾濫を想定、マンホールなどからの「内水氾濫」による浸水被害を予見し得ておらず、注意義務を怠ったなどとする原告の訴えを退けた。原告側は控訴する方針。
公園の使用不許可控訴審も「適法」東京高裁判決(2/26)
在日コリアンを排斥するヘイトデモのための公園使用を不許可にされ、表現の自由が侵害されたとして市に計1500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、東京高裁であった。「デモが行われた場合、差別的言動が騒々しく行われる可能性が高く、公園利用者や周辺住民に不安や恐怖を覚えさせるという市の判断は予想される影響を客観的、具体的に検討したもので合理的」と認定。市の判断を適法とした一審横浜地裁川崎支部判決を支持、原告の控訴を棄却した。
市発注工事の住民訴訟判決 訴え棄却(10/25)
市教育委員会が随意契約で発注した工事は違法として、元職員の市民が福田市長らに損害賠償を求めた住民訴訟の判決が25日、横浜地裁であり、「故意または過失は認められない」などとして訴えを棄却した。原告は2017年度の窓サッシ工事32件(契約金計6130万円)と18年度の補修工事5件(同660万円)の随意契約について住民監査請求、市監査委員は17年度分棄却、18年度分合議不調とした。これを不服として住民訴訟で入札を行うべきと主張していた。原告は控訴の考え。
ヘイト投稿に賠償命令 194万円地裁川崎支部(10/12)
インターネット上の投稿で精神的苦痛を受けたとして、在日コリアン3世、崔江以子さん(50・川崎区)が、投稿した男性に損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、横浜地裁川崎支部であった。「祖国へ帰れ」の書き込みはヘイトスピーチ解消法に定める不当な差別の言動であり人格権を侵害するもので110万円の支払いを命じた。「差別の当たり屋」「被害者ビジネス」と侮辱する記載についても名誉感情毀損に当たるとして84万円の賠償を命じた。
記者の発言公益性認める逆転判決 名誉毀損訴訟(10/4)
神奈川新聞の記事や記者の発言で名誉を傷つけられたとして、市内で政治活動をしていた男性が神奈川新聞の石橋学記者に計280万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は4日、記者の発言の一部を名誉棄損と認めて15万円の賠償を命じた1審・横浜地裁川崎支部判決を取り消し、請求を棄却した。高裁判決は発言の公益性を認め、「発言の前提事実は真実で、意見や論評としての域を出ない」とした。
市に不開示取り消し命令 教科書選定審議会音声データ(10/4)
市立学校の教科書採択に関する情報公開請求に対し、不開示とした市教育委員会の処分を不服として元教員2人が市に取り消しを求めた訴訟の判決が4日、横浜地裁であり市に決定の取り消しを命じた。原告は2014~16年に開催された教科書の選定審議会の音声データの情報公開を請求、市は17年に不開示とした。判決は、開示しても意思決定の中立性が損なわれないとし、開示の必要性はないとの市側の主張は採用できないとした。
市の公園使用不許可「適法」 地裁川崎支部判決(7/11)
ヘイトスピーチをする恐れがあるとして市が公園の使用を不許可にしたため、集会を開く機会などが奪われたとして、男性3人(うち1人は死亡)が計1500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が11日、横浜地裁川崎支部であった。判決は、不当な差別的言動がされた可能性は高く、在日韓国・朝鮮人の人格権を侵害する明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されたとして、市の不許可の判断を支持、請求を棄却した。