2022年12月に94歳で亡くなった牧師の関田寛雄・青山学院大名誉教授のお別れ会が17日、川崎区桜本の川崎朝鮮初級学校で行われた。関田さんは1957年に在日コリアン集住地区の桜本教会に赴任、幸区の多摩川河川敷に戸手教会を開くなど、歴史の責任として地域に残る差別に向き合い続けた。終生、差別の根絶に取り組み、共に生きるまちづくりに尽力し、「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の代表を88歳で引き受けた。
差別投稿の削除対象に特定地区・学校も 条例の解釈指針初改正(3/27)
インターネット上のヘイトスピーチに取り組む市は27日、市差別のない人権尊重のまちづくり条例の解釈指針の一部を改正したと発表した。削除要請を行うインターネット上の差別投稿の対象となる「特定の市民」について、個人を特定したものだけでなく、市内の特定地区に住む人々や特定の学校で学ぶ人々など「複数人の市民を含む」と明記した。同条例の解釈指針の改正は初めて。
元「慰安婦」の足跡を描く記録映画 上映会開催(3/25)
元日本軍「慰安婦」制度の被害者で晩年は人権活動家として生きた足跡を描いた記録映画「金(キム)福(ポク)童(トン)」(209年制作)の上映会が25日、市自治総合会館(中原区)で開かれ約200人が参加した。金さんは14歳のころに慰安婦にさせられたと1992年に公表、日本政府に謝罪と賠償を求める一方、紛争地で性暴力に苦しむ女性の基金や朝鮮学校の支援に取り組み、2019年93歳で生涯を閉じた。主催は「川崎から日本軍『慰安婦』問題の解決を求める市民の会」など。
ヘイト禁止条例パンフ配付 県議選事前説明会で市選管(3/8)
市選挙管理委員会は8日、県議選立候補者予定者の事前説明会で、ヘイトスピーチを禁止した「市差別のない人権尊重のまちづくり条例」のパンフレットを市人権・男女共同参画室の依頼で配布した。選挙運動中に差別的言動が行われないよう周知するもので、29陣営が参加した説明会で、資料説明の中でパンフレットが同封されていることを市選管担当者が伝えた。
地区名明示の投稿もヘイト認定 市審査会(2/14)
市差別防止対策等審査会(会長・吉戒修一弁護士)は14日、在日コリアンが集住する市内の地区名と民族を挙げ、排除・侮蔑するインターネット上の投稿3件をヘイトスピーチと判断、削除を要請すべきとした。これまでは個人に対する言動に限って認定、地区名を巡る言動の認定は初めて。審査されたのは掲示板への投稿2件、ブログ1件で、地区名を明示した上、在日コリアンの蔑称を挙げて「叩き出すべき」と書き込んだ。市は答申を受け、電子掲示板などの運営者に削除を要請する。
ヘイト対策でネットモニタリング提言 市民団体(12/8)
市差別のない人権尊重のまちづくり条例制定から3年を前に「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は8日、インターネット上のヘイトスピーチ対策として「ネットモニタリング」の導入を提言した。市は民間企業に委託するなどして差別書き込みをリサーチ、審査会でヘイト認定し削除要請しており、啓発が主眼のため認定件数が少なく迅速性に欠けた。ネットモニタリングは200以上の自治体で取り組まれ、兵庫県尼崎市では約8割116件が1年間で削除されるなどの効果があった。
拉致被害者家族支援市民の集い 日朝首脳会談から20年(10/1)
北朝鮮が日本人拉致を認めた2002年9月の日朝首脳会談から20年が経過し、その後の交渉が停滞するなか1日、市主催の「拉致被害者家族を支援するかわさき市民のつどい」が市平和館(中原区)で開かれた。拉致当時13歳の横田めぐみさんの母早紀江さんらは、教育の現場で積極的に取り上げ問題の風化を防ぎ、国民が関心を持ち続ける重要性や、政治家が議論を尽くし解決に向けた取組みを進めることなどを訴えた。
「ネットリンチ」で違法書き込み大量認定 法務省(9/8)
差別の被害を訴えた川崎区の在日コリアン3世、崔江以子さんがヘイトスピーチの標的にされ「ネットリンチ」状態になっていることで、崔さんの弁護団は8日、法務省が192件を違法な書き込みと認定しブロバイダー企業に削除要請を行ったと明らかにした。ブログ・掲示板の認定率は約95%(申請38件中36件)、ツイッターは約60%(同262件中156件)。同じリストから市の認定率はそれぞれ約8%(3件)と2%(5件)。師岡康子弁護士は、市の条例運用は限定的過ぎて被害者の救済には不十分と指摘している。
英捕虜追悼「最後のメッセージ」 関田寛雄牧師(93)(8/6)
第2次世界大戦で旧日本軍の捕虜となった外国人兵士ら1700人以上が眠る英連邦戦死者墓地(横浜市保土ヶ谷区)で毎年夏に開かれる追悼集会で、27年間追悼の辞を読み上げてきた牧師の関田寛雄さん(93)が6日、最後のメッセージを述べた。捕虜の扱いを謝罪、不戦と共生を誓い、ロシアのウクライナ侵攻の即時停止を訴えた関田さんは、本市で伝道活動を始め、戦争に翻弄され、差別に苦しむ在日コリアンが多く住む地域で人権運動や生活支援に取り組んだ。
ヘイト投稿ネット掲示板から即日削除(6/7)
市は7日、差別的な内容が書き込まれたネット掲示板の運営会社に対し、市差別防止対策等審査会の答申を受け削除要請し、即日削除されたことを確認した。ネット掲示板には、特定の民族を侮辱する表現で「祖国へ帰れ」などと書き込み、特定の個人を名指しせず書き込み自体は条例の適用除外だが、ヘイト書き込みの被害を訴える市民の名前が記載されたニュースサイトの記事が張られており同審査会は削除要請妥当とした。リンクをたどってのヘイトスピーチ認定は初。