市側は争う姿勢 市民ミュージアム浸水訴訟(11/2)

昨秋の台風19号で市市民ミュージアム(中原区)の収蔵品の約9割に浸水被害が出た問題で、市民団体「かわさき市民オンブズマン」が市長や指定管理者らに計20億円を損害賠償請求するよう求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が2日、横浜地裁で開かれ、市側は請求棄却を求める答弁書を提出した。訴状によると、同館はハザードマップで浸水が想定されており、地上階へ作品を移すか浸水防止措置を取れば被害は防げたとしている。市側は、オンブズマンの住民監査請求を市監査委員が一部却下したことなどから訴えは不適法と主張した。

昨年の「しんゆり映画祭」上映中止問題を検証 監督らオンライン講座で(10/24)

昨年の「KAWASAKIしんゆり映画祭」で、慰安婦問題をテーマにした映画「主戦場」の上映中止を巡って問題を検証する「連続オンライン公開講座」(全6回)が24日から始まった。初回はジャーナリストの金平茂紀さん、映画監督の森達也さんらが出演し、「目に見えない恐怖や不安」が背景にあると語った。第2回では上映中止に抗議して作品を引き揚げた白石和彌監督らが「問題が起こりそうな作品を事前に落とす動き」を懸念し、「上映中止になった過程をオープンに」などと話した。

昨年の一時上映中止問題検証 「しんゆり映画祭」25日から(10/6)

「KAWASAKIしんゆり映画祭」の実行委員会は6日、今年の映画祭を25日から4日間開催すると発表した。今年は従軍慰安婦をテーマにした映画「主戦場」が昨年、一時上映中止となった問題を踏まえ、事態の検証と経過を伝えるオンラインでの公開講座もシリーズで行う。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、規模を縮小して開く。実行委員会委員長で映画プロヂューサーの安岡卓治さんは、開催にあたって市側から「今後はプログラムに介入しない」との言質を得たと述べた。

ミュージアム美術品水没 市長らに損害請求(10/1)

昨年10月の台風19号で市市民ミュージアム(中原区)の地下収蔵庫が浸水し、収蔵品の9割近くが水没した問題で、市民団体「かわさき市民オンブズマン」は、市長や指定管理者らに20億円を請求するよう市に求める住民訴訟を横浜地裁に起こした。提訴は9月2日付。同館は多摩川沿いの低湿地にあり、ハザードマップでも浸水が想定されていたため、地下に収蔵していなければ被害は食い止められたとしている。収蔵品の総額は約42億円とされ、損害額は少なくとも半分の20億円に上ると見積もった。

従来通りの展示・収蔵は困難 市民ミュージアム(9/29)

昨年の台風19号で浸水した市市民ミュージアム(中原区)のあり方を考える市文化芸術振興会議の検討部会が29日、開かれた。会合はオンラインで行われ、現在の施設で従来と同様に展示、収蔵することは難しいとの見方を示した。市側は、地上3階、地下1階の現施設の活用について、3階に展示スペースと収蔵庫、機械室を集約し、2階より下は研修室など収蔵品を扱わない再活用案を示したが、収蔵庫は雨漏りもある今の施設に残すべきでないとする意見で一致した。

文化賞に宮田さんら3人受賞 将棋棋士の本田さんアゼリア輝賞(9/15)

市は15日、本年度の「川崎市文化賞」などを6人と1団体に贈ると発表した。文化賞は元認定NPO法人教育活動総合サポートセンター理事長の宮田進さん(80)、元市青少年科学館館長の若宮崇令さん(77)、民謡歌手の伊藤多喜雄さん(69)の3人、社会功労賞は青丘者理事長の裵重度さん(76)、市歯科医師会会長の山内典明さん(66)、スポーツ賞は古希軟式野球チーム「川崎ブルーソックス」、今後の活躍が期待される「アゼリア輝賞」はプロ将棋棋士の本田奎さん(23)が選ばれた。

収蔵品修復費本年度だけで3億円 市民ミュージアム(7/31)

昨秋の台風19号で市市民ミュージアム(中原区)の地下収蔵庫が水没した問題で市は31日、被災した収蔵品の修復作業の経費は2020年度で、市の負担が約3億円、指定管理者の負担が約3千万円に上ることを明らかにした。指定管理者のアクティオ・東急コミュニティ共同事業体が搬出から洗浄、殺菌までの応急措置を請け負い、本格的修復は市が担当する。修復の完了時期や経費の総額は見通せないとしている。

市民ミュージアム「改修困難」 検討部会が初会合(7/28)

市は昨年の台風19号で浸水した市市民ミュージアム(中原区)の在り方を考える検討部会を28日設置し、初会合を開いた。部会は垣内恵美子政策研究大学院大教授(部会長)、金山喜昭法政大教授、杉浦幸子武蔵野美術大教授ら、博物館や美術、建築など7人の学識経験者で構成。市側は休館中の現施設について「改修して利用するのは困難」との見方を示した。委員からは「施設のミッションをきちんと議論すべき」「被災の修復過程も発信することが必要」などの意見が出た。来年8月までに方針案を公表する。

神々の造形作品並ぶ古事記の世界 岡本太郎美術館(7/23)

空気を膨らませて立体的に形成された「空気膜造形」で知られる高橋士郎・元多摩美術大学学長(77)の作品を集めた「古事記展」が23日、市岡本太郎美術館(多摩区)で始まった。岡本太郎は出雲神話に興味を持ちスサノオノミコトをモチーフにした彫刻「神話」などを制作しており、同じく神話をテーマに奇想天外でユーモラスな作品を制作する高橋さんの作品展が企画された。会場には神々を表現した造形作品が並び、高さ約5㍍の日の紙や奥行き約7㍍のイザナギなどが並ぶ。入り口には高橋さんが制作した疫病をおさめるといわれる妖怪「アマビエ」の作品も展示されている。

日本画家大矢さん「ニコライ堂」など自ら修復 浸水被害の寄贈作品(7/16)

昨年10月の台風19号で浸水した市市民ミュージアム(中原区)の被災収蔵品のうち、麻生区在住の日本画家大矢紀さん(84)の「ニコライ堂」と「昭和新山」について、市は16日修復を終えたことを明らかにした。両作品とも長時間水に漬かり、破損が激しく業者による修復不能とされた。廃棄処分と聞いた大矢さん自ら修復と加筆を申し出たもので、「被災した作品はほかに20点余りあり、今後も可能な限り修復する考えだが、市は今後の保存方法をしっかりしてほしい」と注文をつけた。

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